アニマルプラネット

１２８の数字にまつわる話を書いて、
もう四回も季節が巡った。
なんか不思議な感覚なので、
今回は１１４の話。
今でも忘れられない朝。

我が家には昔、
もう一匹の猫がいた。
公衆電話の中に捨てられてて、
葦毛で、かわいくて。
自分の意志で一緒に暮らすことにした、
言葉は悪いけど、
初めて所有する生命。
小さい頃から、
まったくなついてくれなくて、
ものすごい気性が荒くて、
やがて、
この辺一帯を仕切るボスになった。

その日もいつものようにご飯の後、
でかけていって外でなんかケンカの声や、
走り回る鈴の音。
だいたい寝る頃には帰ってきて、
奴の気が向けば一緒に寝ることもあったんだけど、
その日は帰ってこなかった。
ものすごく悪い予感を感じていたのに、
それまでもなんどか朝帰りはあったから、
男前やし、
なんせ強いしな。
なんて自分の眠さに言い訳しながら寝たんだ。

でも朝ご飯になっても帰って来なかった。
十三年たったけど、
今でもその夜のことを悔やんでる。
なんでちゃんと迎えに行かなかったんだろう。
悪い予感をちゃんと受け取らなかったんだろう。

そんな１１４にまつわる思いで。

庭のすみっこで今でも多分ボス気取りで寝ているんだろうな。

にしてもネーミングセンスないよな俺。
葦毛の彼の名は、そのまま見たまんまの。

「グレー」